弁護士の仕事は目に見える「商品」があるわけではないので、弁護士としての仕事をしていると、仕事の価値とか意味に迷いが生まれるときがあります。
自分にできること。
「弁護士って何をしてくれるの?」と聞かれたときに、何と答えるか。
弁護士の仕事の「本質」と「根幹」。
提供できる仕事の価値は、自分がいちばん知っていなければいけないはずです。
ぼくが弁護士として提供できる「サービスの本質」は何かを考えてみました。
財産や権利をまもる
ひとことでいえば、損をさせないこと。
本来は、人と人とのあいだに何か問題が起きたとしても、お互いに譲り合ったり、思いやったりして、円満に解決するのが理想だと思います。「お互いさま」ということばがあるように、いつでも逆の立場になることもあるわけですから、自分の利益ばかり求めていたら、自分が困るときもくるかもしれません。
でも、そんな思いやりとか、譲り合いが通用しないこともあります。たとえば相手も悪いはずなのに、一方的に責任を押し付けてきたり、もらえるはずの財産を、相手の都合だけでぜんぶ独り占めされたり。そんなとき、なにも言わなければ、一方的に損をしてしまいます。
お人好しが損をする社会は間違っていると思います。
「受け取るべきものは、きちんと受け取る」
「なにかを奪われそうになっているときには、きちんとまもる」
そのために、「言いたいことが言えない人に代わって、きちんと言ってあげる」
これがぼくの仕事の大切な部分ではないかと考えました。
こころの支えにもなる
人間関係の問題を抱えるということは、思いのほか、こころをすり減らします。ときには、自分の非を責められることもあり、また、相手に理解してもらえないことを歯がゆく感じることもあると思います。
問題の渦中にいるひとにとって、自分の考えが正しいのかどうかが分からなくなってゆくことが往往にしてあります。そんなときに、法律的な観点から、アドバイスをして支えてあげることに、サービスの価値があるのではないかと考えました。
ただ、クライアントに迎合する意見だけ言っていればいいわけではないところが、難しいところなんですけどね。
手間と時間を節約してあげる
これはまだまだ実現できているわけではありませんが、ちょっとした手続や手間も代行してあげられたらいいなと思っています。
争いのない相続のときにも、代わりに必要書類を集めてあげるとか、役所に提出する書類を代わりに作ってあげたりだとか。
ほかにも、たとえば年金や保険の制度って複雑だったりしますから、制度の概要や必要な書類を、代わりに調べて教えてあげることも、「手間と時間を節約してあげる」ことにつながるのではないかと思います。
たぶん、いままではあまり弁護士のサービスとして、重要視されていなかった分野だと思います。やっぱり法廷でたたかったり、大きな事件を扱ったりすることが、弁護士の仕事の醍醐味だったりしますからね。
でも、ぼくは個人の生活にかかせない事柄をもっと取り扱っていきたいと思っています。「敷居を下げる」ためには、単に料金を下げるだけじゃなくって、ひとの「暮らし」に積極的に関わっていくことが大事だと思うからです。
あとがき
今回の記事を書くために、弁護士のサービスの本質とは何だろうと、いろいろと考えてみた結果、もっとホームページでのPRの仕方を工夫する余地があるんじゃないかなと思い始めました。価値をお客さまに理解してもらうことって重要なことですからね。