益子焼きの町として有名な栃木県益子町では、春と秋の連休に、「陶器市」という大きなイベントが開催される。既存の陶器店のほかにも、作家や窯元が銘々にテントをたてて、益子焼や美術品などが一斉に売りに出されるのだ。この期間中は、県外からも陶器を買いに多くの方が訪れ、益子の街中が大いに賑わう。
そんな陶芸の町ではあるが、陶器を買うためだけに訪れるのは、もったいない。足を延ばして中心地を離れれば、『故郷』で歌われるような野山の風景が広がる中に、歴史と日本の文化を感じることができる観光地がある。

西明寺

正式名称は、獨鈷山普門院西明寺。
益子の本通りから南東に位置する高舘山にある古刹だ。

初夏の柔らかみのある日差しに照らされ輝く樹木。
生い茂る木々を刳り貫くように、重厚な石段が本堂まで続く。

西明寺の石段

西明寺

参道の脇に見える美しい竹は、幹が四角の「四角竹」。
切り口をみると、たしかに四角形のかたちをしている。

西明寺の四角竹

西明寺の四角竹

三重塔は国指定重要文化財。
屋根の曲線は、遠目に見ても美しいが、下から見上げると、
精巧に組まれた木材が押し迫ってくるような迫力がある。

西明寺の三重塔

西明寺を訪れたなら、一番観て欲しいのは、閻魔堂。
なかには、笑う閻魔の像が鎮座する。この笑う閻魔様の表情は見事だと思う。この閻魔様の前に立つと、一瞬背筋が伸びるような緊張感が走るものの、いつのまにかこちらも笑みがこみあげてきて、どっと一気に全身の力が抜けるような感覚に陥る。

西明寺の閻魔堂

日下田藍染工房

益子焼きの店舗が建ち並ぶ城内坂を下った先の交差点に、藍染の工房がある。
200年以上も続く紺屋「日下田藍染工房」だ。

まるで博物館のような作業場には、染料の入った甕が並ぶ。
職人の技術と道具に畏敬の念がわいてくる。

日下田藍染工房

木綿も糸から作っているそうで、藍染の工房の奥には手織りの作業場もあった。

日下田藍染工房の織機

日下田藍染工房

作業の過程を手で触れられるくらいに間近で見学させてくれるのは、
工程や技法、道具も含めて伝統のひとつだと考えているからなんだと思う。
見学を終えたあとは、藍染の織物を見る目が変わるのが実感できる。

日下田藍染工房

カフェでひとやすみ

城内坂を登り切ったところにあるカフェ「ほっとるーむ・けやき」。
入口の近くは、昔ながらの喫茶店のような造りだが、
奥には広々とした明るい空間が広がっている。

ほっとるーむけやき

益子焼きでいただく、
栃木県の苺「とちおとめ」を使ったミルクジュース。
適度な甘味と酸味で、身体の疲れがすうっと消えてゆく。

ほっとるーむ・けやきのとちおとめミルクジュース

訪れた観光地とお店の情報

獨鈷山普門院西明寺

日下田藍染工房

  • 所在地
    栃木県芳賀郡益子町城内坂1
  • 営業時間
    8:30~17:00
  • 休業日
    月曜日

ほっとるーむ・けやき

ほかにも益子を訪れたときの日記は