民法第664条の2
  1. 寄託物の一部滅失又は損傷によって生じた損害の賠償及び受寄者が支出した費用の償還は、寄託者が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。
  2. 前項の損害賠償の請求権については、寄託者が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

条文の趣旨と解説

平成29年民法(債権関係)改正に伴い、新設された規定です。

寄託者の損害賠償請求権及び受託者の費用償還請求権について、寄託者が返還を受けた時から一年以内という期間制限を設けるものです(1項)。寄託物の損傷又は滅失が受寄者の保管中に生じたものか否かが不明確になることを避けるため、債権債務関係を早期に処理することが望ましいためであると説明されています(中間試案補足説明)。
寄託者の損害賠償請求権については、返還時から1年を経過するまでは時効が完成しません(2項)。

条文の位置付け