- 民法第445条
- 連帯債務者の一人に対して債務の免除がされ、又は連帯債務者の一人のために時効が完成した場合においても、他の連帯債務者は、その一人の連帯債務者に対し、第442条第1項の求償権を行使することができる。
- 平成29年改正前民法第445条
- 連帯債務者の一人が連帯の免除を得た場合において、他の連帯債務者の中に弁済をする資力のない者があるときは、債権者は、その資力のない者が弁済をすることができない部分のうち連帯の免除を得た者が負担すべき部分を負担する。
条文の趣旨と解説
平成29年民法(債権関係)改正により新設された規定です。
改正民法は、連帯債務者の一人に対する債務の免除及び一人のために完成した時効は、他の連帯債務者に対してその効力を生じないこととされました(441条本文)。そのため、連帯債務者の一人について免除又は時効の完成があったとしても、他の連帯債務者はその全額を支払う義務があります。
本条は、当該義務を履行した連帯債務者が、債務免除や時効の完成があった連帯債務者に対しても、その負担部分に応じた求償権(442条1項)を行使できることを定めています(部会資料83-2)。
なお、債務免除や時効の完成があった連帯債務者が、他の連帯債務者からの求償に応じたとしても、債権者に対してその分の求償(不当利得返還請求)をすることはできないと解されます(部会資料83-2)。