- 民法第436条
- 債務の目的がその性質上可分である場合において、法令の規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
- 平成29年改正前民法第432条
- 数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
条文の趣旨と解説
同一内容の給付について、数人の債務者が独立に全部の給付をなすべき債務を負担し、そのうちの一人の給付があれば他の債務者も債務を免れる多数当事者の債務を「連帯債務」といいます。
平成29年民法(債権関係)改正
改正前民法においては「数人が連帯債務を負担するときは」との文言があるのみで、連帯債務の成立要件について明確に定められていませんでしたが、改正民法では、従前の一般的な理解に基づいて、法令の規定による場合のほか、当事者の意思表示のよって成立するという文言が追加されました。
なお、改正前民法下においては、不可分債務につき、債権の目的が「性質上」不可分である場合と、性質上可分であるが「意思表示によって」不可分となる場合があるとされていました(改正前民法428条参照)。
これに対し、改正民法では、債権の目的が性質上不可分である場合のみを不可分債務と定義しました(430条)。このため、債権の目的が性質上可分であるが、当事者の意思表示により不可分としていた場合には、不可分債務ではなく、連帯債務として取り扱われることとなります。