民法第470条
  1. 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。
  2. 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
  3. 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってもすることができる。この場合において、併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。
  4. 前項の規定によってする併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従う。

条文の趣旨と解説

平成29年民法(債権関係)改正により新設された規定です。
改正前民法には、債務引受に関する規定がありませんでしたが、判例・学説ともにこれを認めていました。債務引受には、債務者と引受人とが併存して債務を負う併存的債務引受と、引受人のみが債務を負い債務者が免責される免責的債務引受があると考えられていました。
本条は、併存的債務引受について、要件と基本的な効果についての規定を設けています。

併存的債務引受がされると、引受人は、債務者と連帯(436条)して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担します(本条1項)。
なお、改正前民法下の判例も、特段の事情のない限り、原債務者と引受人との関係について連帯債務関係が生ずるとしていましたが(最高裁昭和41年12月20日第三小法廷判決)、絶対的効力事由が広く認められていた改正前民法の連帯債務の規律によれば、債権者の期待に反する結果になるという指摘がされていました。この指摘に対しては、改正民法は、連帯債務の規律の変更により、絶対的効力事由を限定する改正を行っています(441条の解説参照)。

併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができます(本条2項)。
この規律は、原債務者の意思に反するときでも、債権者と引受人となる者との契約によってすることができるとしていた改正前民法下における判例法理(大審院大正15年3月25日判決)を踏襲するものです。

併存的債務引受は、債務者と引受人との合意によっても成立します。債務者と引受人との合意によって成立する併存的債務引受は、第三者のためにする契約(537条)であり、債権者の引受人に対する権利が発生するためには、債権者の受益の意思表示が必要です(本条3項、4項)。
この規定も、改正前民法下における一般的理解が明文化されたものです。

条文の位置付け