- 民法第1033条
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- 配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる。
- 居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができる。
- 居住建物が修繕を要するとき(第1項の規定により配偶者が自らその修繕をするときを除く。)、又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、居住建物の所有者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、居住建物の所有者が既にこれを知っているときは、この限りでない。
条文の趣旨と解説
賃貸借においては賃貸人が修繕義務を負いますが(606条)、配偶者居住権では居住建物の所有者は修繕義務を負いません。そこで、配偶者居住権を有する配偶者は自ら居住建物の使用及び収益に必要な修繕を行うことが認められています(本条1項)。
他方で、居住建物の所有者にも自己の財産である居住建物の価値を維持する機会を与える必要があることから、配偶者が相当の期間に必要な修繕をしないときは、居住建物の所有者はその修繕をすることができるものとされています(本条2項)。
居住建物が修繕を要するとき又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は居住建物の所有者に対して、遅滞なくその旨を通知しなければなりません(本条3項)。ただし、居住建物の所有者が当該事実を知っているときや、修繕を要するときであっても配偶者が自ら修繕を行うときは、通知の義務はありません。