民法第252条の2
  1. 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
  2. 共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該共有者以外の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。
  3. 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。
  4. 前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

条文の趣旨と解説

令和3年民法・不動産登記法改正により新設された規定です。
共有物の円滑な管理を図るため、予め管理者を選任し、その管理を管理者に委ねることができることとされています。

共有物の管理者

共有物の管理者の選任及び解任は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決定します(民法252条1項)。

選任された共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができます。ただし、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除きます。)を加えるには、共有者全員の同意を得なければなりません(本条第1項)。

共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を定めた場合には、これに従って職務を行う必要があります(本条第3項)。管理者がこの定めに違反して行った共有物の管理者の行為は、原則として共有者に対して効力を生じませんが、取引の安全を確保するという見地から、善意の第三者には対抗できないものとされています(本条第4項)。

所在等不明共有者がいる場合の特則

共有者の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の管理者の請求により、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができるものとされています(本条第2項)。

条文の位置付け