栃木県栃木市にある「山本有三ふるさと記念館」を訪れた。
山本有三は『女の一生』『真実一路』『路傍の石』で知られる小説家である。

山本有三ふるさと記念館

記念館には、山本有三の愛用品や作品などが展示されている。

山本有三ふるさと記念館

山本有三ふるさと記念館

私の読んだ『路傍の石』と『真実一路』

私はいまでこそ文学が好きで、
文庫版の小説を買ってきてはよく読んでいるのであるが、
小さい頃はまったくといっていいほど、小説を読まなかった。

はじめて読んだ文学とよべる小説は何だろうかと、古い記憶を辿り寄せてみると、
山本有三の『路傍の石』という小説に思い至った。

おそらく父のものであったこの本は、私の本棚の一角に置かれていて、
ほこりをかぶり、古く変色したぼろぼろのケースに入っていた。
勉強に飽きたときに、ふと手にとって読み始めたのが、きっかけだ。

物語の詳細は覚えていないが、
子どもの人生観に影響を与えるような、分かりやすい内容であった気がする。

路傍の石 (新潮文庫)

そして、高校に入ってから、山本有三の『真実一路』という小説を読んだ。
子に対して嘘をつくなといいながら、子のために真実を隠す父。
真実を隠した父が正しかったのか。
実家に帰ったときに『真実一路』の本は見つかったので、父のことばを引用する。

“人生と申すものはじつに複雑多様なるものにて、うそは絶対に悪とされていますが、この嘘があるために、いかほど人生がなめらかにされているか、計り知れないと思います。”

山本有三は、次世代を担う青少年の育成に心を配り、
児童文学・国語教科書の編著にも関わった作家である。

その青少年の育成を願う精神は『真実一路』にも現れている。

『真実一路』は子どもの登場人物の目線で語り始められるから、児童が読んでもすんなりと物語に入っていける。物語の途中から、大人の目線でも語られることになるのであるが、これは山本有三が、小説を読むなかで読者が成長していけるようにと、意図的につくりあげた構成ではないだろうか。

真実一路 (新潮文庫)

山本有三ふるさと記念館の情報

所在地
〒328-0015 栃木県栃木市万町5-3
ホームページ
山本有三ふるさと記念館ホームページ

栃木市

栃木市は水運で栄えた蔵の街である。
市の中心部を巴波川(うずまがわ)が流れ、その両脇に黒塗りの見世蔵や白壁の土蔵が連なる。

栃木市の巴波川

栃木市の巴波川

蔵の街といえば、福島県の喜多方市も雰囲気がよかった。
そのときの日記と写真はこちら。

大平山

栃木市にある大平山は、紅葉が見頃であった。

大平山の紅葉

大平山の紅葉

大平山の紅葉

大平山の紅葉

ちなみに大平山はあじさいでも有名だ。
大平山あじさい祭りのときの写真はこちら。