朝晩の通勤途中に通り過ぎる神社の角に、早咲きの梅を見つけました。
余寒のなかにも春を感じられるようになりましたが、つつがなくお過ごしでしょうか。

私はちょうど5年前の2月に弁護士として独立をしましたので、今回のコラムでは、私が独立してから密かに悩んでいた頃のことをお話したいと思います。

いまから5年前、私は、所属していた事務所から弁護士として独立しました。
私にとっては大きな転換でした。M&Aやファイナンスなど最先端の企業法務を取り扱う法律事務所から、離婚や相続などの個人の法律問題を解決する弁護士への転向だったので、独立してはじめのころは、些細な手続が分からなかったり、お客さまとの人間関係で苦労したりして、なかなか前には進まない泥沼を歩いているような気持ちになったりもしました。

お客さまから信頼をされるということは想像以上に大変なことでした。
電話口で私の声を聞いた瞬間に、若い弁護士は希望しないときっぱりと断られたこともありましたし、法律相談を受けても、若いから経験がないんでしょうと言われたこともありました。私が悪く言われるのは構わないのですが、私が自信のない態度を見せたばかりに、せっかく私を頼って相談してくださったお客さまに不安を抱かせてしまったことは今でも心苦しく思っています。

接客業のむずかしさに悩んでいた頃、解決のきっかけを与えてくれたのは、かねてからプライベートでお世話になっていた身近な方々でした。いままでは法律家の卵としてしか見てくれていなかった私に、真剣に法律相談をしてくれるようになったのです。親しい関係にあったひとが、年下の私にたいして、敬語で話してくださいました。新鮮な気持ちになるとともに、強く責任を感じ、しっかりと期待には応えていかなければいけないと思いました。月並みな表現かもしれませんが、自分が必要とされている居場所を見つけることができたのは、悩んでいた自分にとって大きな自信になりました。

弁護士の仕事というのは信頼で成り立っているものですが、そこでいう信頼というのは、短い時間で得られるような、うわべだけのものではなくて、仕事を通じて、長い時間をかけて築き上げていくものだと思います。
万人受けするような人柄を演じるのは今の私には到底できないことだと自覚していますので、まずは目の前のお客さまの仕事を丁寧に処理していく。弁護士として独立して5年間を経ましたが、今でもこの姿勢で弁護士業を続けていきたいと思っているところです。

「信頼」とは何かということは、今後も模索していかなければいけません。
平素よりお世話になっている皆様方には、今後ともご指導・ご鞭撻を賜りたく、お願いを申し上げます。

梅の花