- 民法第402条
- 債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。
- 債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っているときは、債務者は、他の通貨で弁済をしなければならない。
- 前2項の規定は、外国の通貨の給付を債権の目的とした場合について準用する。
条文の趣旨と解説
金銭の給付を目的とする債権(「金銭債権」といいます。)については、特約がない場合、各種の通貨をもって支払うことができます(本条1項本文)。
国内における通貨は、貨幣及び日本銀行券とされています(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律2条3項)。日本銀行券は枚数に制限なく強制通用力が認められますが(日本銀行法46条2項)、貨幣については、額面価格の20倍までに限り、強制通用力を有します(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律7条)。
特定の種類の通貨の給付を債権の目的とした場合
特約により、特定の種類の通貨の給付を債権の目的とすることもできます(本条1項ただし書)。このような特約をした場合においても、弁済期にその通貨が強制通用力を失っているときは、債務者は、他の通貨をもって弁済しなければなりません(本条2項)。
外国通貨の給付を債権の目的とした場合
外国通貨の給付を債権の目的とした場合、債務者は、外国通貨の各種の通貨で弁済することができます(本条3項において準用する本条1項)。
外国通貨のうち特定の種類の通貨を給付の目的とした場合に、その特定の種類の通貨が強制通用力を失っているときは、債務者は、他の外国通貨をもって弁済しなければなりません(本条3項において準用する本条2項)。
なお、民法403条によって、債務者は、外国の通貨で弁済をせずに、日本の通貨で弁済をすることもできます。