- 民法第200条
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- 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
- 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。
条文の趣旨と解説
占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができます(本条1項)。本条1項の「占有を奪われた」とは、占有者がその意思に反して物の所持を失った場合を指し、占有者において任意に所持を移転したときは、たとえ欺罔による占有移転であったとしても、「占有を奪われた」とはいえないとされています(大審院大正11年11月27日判決)。
占有を侵奪した者の特定承継人は、その承継人が侵奪の事実を知っていたときに限り、占有回収の訴えの相手方となります(本条2項)。
条文の位置付け
- 民法
- 物権
- 占有権
- 占有権の効力
- 民法第188条 – 占有物について行使する権利の適法の推定
- 民法第189条 – 善意の占有者による果実の取得等
- 民法第190条 – 悪意の占有者による果実の返還等
- 民法第191条 – 占有者による損害賠償
- 民法第192条 – 即時取得
- 民法第193条 – 盗品又は遺失物の回復
- 民法第194条 – 盗品又は遺失物の回復
- 民法第195条 – 動物の占有による権利の取得
- 民法第196条 – 占有者による費用の償還請求
- 民法第197条 – 占有の訴え
- 民法第198条 – 占有保持の訴え
- 民法第199条 – 占有保全の訴え
- 民法第200条 – 占有回収の訴え
- 民法第201条 – 占有の訴えの提起期間
- 民法第202条 – 本権の訴えとの関係
- 占有権の効力
- 占有権
- 物権