民法第200条
  1. 占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
  2. 占有回収の訴えは、占有を侵奪した者の特定承継人に対して提起することができない。ただし、その承継人が侵奪の事実を知っていたときは、この限りでない。

条文の趣旨と解説

占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができます(本条1項)。本条1項の「占有を奪われた」とは、占有者がその意思に反して物の所持を失った場合を指し、占有者において任意に所持を移転したときは、たとえ欺罔による占有移転であったとしても、「占有を奪われた」とはいえないとされています(大審院大正11年11月27日判決)。
占有を侵奪した者の特定承継人は、その承継人が侵奪の事実を知っていたときに限り、占有回収の訴えの相手方となります(本条2項)。

条文の位置付け