相続とは、ある人の権利と義務を、一定の関係にある人が引き継ぐことをいいます。
それでは、相続は、いつ、どのようにして起きるのでしょうか。
相続の始まり
相続は、人の「死亡」によって始まります。
つまり、ある人が死亡した瞬間に、一定の関係にある人(「相続人(そうぞくにん)」)が、死亡した人の権利と義務を引き継ぐのです。
これを「相続が開始する」といいます。
生前は…
死亡によって、はじめて権利を引き継ぐことになりますので、これを逆にいえば、死亡するまでは、たとえ子どもであっても、親の財産について何の権利をもっているわけではないということです。
失踪の宣告
ちなみに、少しむずかしい話になりますが、人が実際に生きていても、民法上「死亡」とみなされる場合もあります。「失踪の宣告(しっそうのせんこく)」といって、7年間生死が不明な人に、家庭裁判所が失踪の宣告をすることによって、その人が死亡したものとみなされて、相続が始まることもあるのです。
関連する条文
- 民法第882条
- 相続は、死亡によって開始する。
- 民法第896条
- 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
- 民法第30条
- 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。