「暮しの手帖」の編集長である松浦弥太郎さんの著書をご紹介します。
センスを問われる雑誌の編集というお仕事をされているだけに、
仕事に臨む心構えや生活でセンスを磨くための着眼点はとても参考になります。
センスの磨き方
いちばん印象に残ったのは以下のフレーズです。
休日を充実させるためにはセンスがものを言います。休日を楽しんでいる人は、自分でテーマを決め、自分を満たす工夫を自分で考え、自分なりに実践できています。発見と工夫を自分の力でアレンジし、それを実行に移し、楽しむこと。こうした休日のプロセスが、その人のセンスをつくります。
何でも好きなことをしてもいいと言われると、何をしていいのか迷ってしまいます。
これといった趣味がないぼくにとって胸に響いたひとことでした。
そのときどきの季節を味わいつつ、じぶんの気持ちも満たされる、
そんな休日の過ごし方を実現できるように心掛けていれば、
アンテナも広がって、センスも磨かれていくような気がします。
また、休日にでかけるために情報を集めるという手間も、
センスを磨くひとつのプロセスになると思います。
せっかく足を運ぶならば、人気のお店や綺麗なスポットを念入りに調べて、
訪れた地で美味しいものを味わって、美しい景色を楽しみたいですしね。
万能の書を側に置く
センスを磨くための本も紹介されていました。
第一には歳時記。歳時記を常備し、折りに触れて開くと、日本ならではの季節の感覚を取り戻すことができます。自然の変化に敏感になることで、新たな発想も生まれてくるものです。第二には、ヘンリー・デイヴィッド・ソローの『ソロー語録』。この本には、ソローが自然を散策し、思索した中で見つけ出したエッセンスが凝縮されています。
『歳時記』はおすすめです
ぼくも『歳時記』は机の上に置いてあります。
歳時記は、「桜」などの季語ごとに、俳句や解説がまとめられた辞書のような本です。
一日を振り返るときに歳時記を読むと、とても面白い体験ができます。
たとえば、紫陽花をみた日に、「紫陽花」を季語とする俳句を探してみます。
すると「黄昏れてゆく あじさいの花 にげてゆく」といった俳句に出会い、
じぶんが見た紫陽花に、「黄昏」という新しいイメージを付け加えることができるのです。
なにげなく目の前の紫陽花をみただけでは「黄昏」なんて映像は浮かびませんよね。
でも、俳句のとおりに、黄昏時に紫陽花が咲いている姿を想像してみると、
これまでの既知の世界から、新しい世界が目の前に広がります。
今日のあとがき
仕事をするうえでも、ひとのこころにすっと届く文章を書くためには、小手先の技術を身につけるだけでなく、心を豊かにして、人間性を高める必要があると感じています。
「センスを磨く」という考え方は大切にしていきたいと思いました。