- 民法第424条の4
- 債務者がした債務の消滅に関する行為であって、受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務の額より過大であるものについて、第424条に規定する要件に該当するときは、債権者は、前条第1項の規定にかかわらず、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分については、詐害行為取消請求をすることができる。
条文の趣旨と解説
過大な代物弁済等に関する特則です。
代物弁済は、債務の消滅に関する行為であることから、424条の3(特定の債権者に対する担保の供与等の特則)の規律が及び、同条の要件に該当するときは、その代物弁済等によって消滅した債務の額に相当する部分かそれ以外の部分かにかかわらず、その代物弁済等の全部の取消しを請求することができます。
しかし、過大な代物弁済は、全体として偏頗行為の性質を有する一方で、過大な部分については、債務者の計数上の財産状態を悪化させるものであり、財産減少行為の性質も有します(民法(債権関係)の改正に関する中間試案の補足説明、部会資料73A)。
そこで、424条の3の要件に該当しない場合であっても、424条(詐害行為取消請求)の要件に該当するときは、過大な部分(代物弁済等によって消滅した債務の額に相当する部分以外の部分)については、詐害行為取消権の行使を認めることとされています(本条)。
破産法160条2項と同様の趣旨です。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 債権の効力
- 詐害行為取消権
- 民法第424条 – 詐害行為取消請求
- 民法第424条の2 – 相当の対価を得てした財産の処分行為の特則
- 民法第424条の3 – 特定の債権者に対する担保の供与等の特則
- 民法第424条の4 – 過大な代物弁済等の特則
- 民法第424条の5 – 転得者に対する詐害行為取消請求
- 民法第424条の6 – 財産の返還又は価額の償還の請求
- 民法第424条の7 – 被告及び訴訟告知
- 民法第424条の8 – 詐害行為の取消しの範囲
- 民法第424条の9 – 債権者への支払又は引渡し
- 民法第425条 – 認容判決の効力が及ぶ者の範囲
- 民法第425条の2 – 債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利
- 民法第425条の3 – 受益者の債権の回復
- 民法第425条の4 – 詐害行為取消請求を受けた転得者の権利
- 民法第426条 – 詐害行為取消権の期間の制限
- 詐害行為取消権
- 債権の効力
- 総則
- 債権