- 民法第425条の3
- 債務者がした債務の消滅に関する行為が取り消された場合(第424条の4の規定により取り消された場合を除く。)において、受益者が債務者から受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、受益者の債務者に対する債権は、これによって原状に復する。
条文の趣旨と解説
平成29年民法(債権関係)改正により新設された規定です。
改正前民法下における判例は、債務者の受益者に対する代物弁済が取り消された場合には、受益者の債務者に対する債権が復活するとしていました(大審院昭和16年2月10日判決)。また、破産法169条も、債務の消滅に関する行為が否認された場合において、相手方がその受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、相手方の債権はこれによって原状に復すると規定されていました。
そこで、改正民法においても、当該判例法理や破産法の規定を踏まえ、債務の消滅に関する行為が取り消された場合において、受益者が債務者から受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは、受益者の債務者に対する債権が原状に復することが定められました。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 債権の効力
- 詐害行為取消権
- 民法第424条 – 詐害行為取消請求
- 民法第424条の2 – 相当の対価を得てした財産の処分行為の特則
- 民法第424条の3 – 特定の債権者に対する担保の供与等の特則
- 民法第424条の4 – 過大な代物弁済等の特則
- 民法第424条の5 – 転得者に対する詐害行為取消請求
- 民法第424条の6 – 財産の返還又は価額の償還の請求
- 民法第424条の7 – 被告及び訴訟告知
- 民法第424条の8 – 詐害行為の取消しの範囲
- 民法第424条の9 – 債権者への支払又は引渡し
- 民法第425条 – 認容判決の効力が及ぶ者の範囲
- 民法第425条の2 – 債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利
- 民法第425条の3 – 受益者の債権の回復
- 民法第425条の4 – 詐害行為取消請求を受けた転得者の権利
- 民法第426条 – 詐害行為取消権の期間の制限
- 詐害行為取消権
- 債権の効力
- 総則
- 債権