民法第113条
  1. 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
  2. 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。

条文の趣旨と解説

代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、原則として、本人に対して効力を生じません。しかし、無権代理行為が必ずしも本人に不利益とは限らないことから、本人は、追認をすることにより、この無権代理の効果を自己に帰属させることができます(本条1項)。また、本人は、追認を拒絶することもでき、追認の拒絶があった場合には、本人に効果が帰属しないことが確定します。
追認又は追認拒絶は、代理行為の相手方に対してしなければ、その相手方に対して追認又は追認拒絶の効果を主張することはできません(本条2項本文)。ただし、無権代理人に対して追認又は追認拒絶をした場合であっても、相手方がその事実を知ったときは、相手方に対して追認又は追認拒絶の効果を主張することができます(本条2項ただし書)。

条文の位置付け