民法第398条の12
  1. 元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる。
  2. 根抵当権者は、その根抵当権を二個の根抵当権に分割して、その一方を前項の規定により譲り渡すことができる。この場合において、その根抵当権を目的とする権利は、譲り渡した根抵当権について消滅する。
  3. 前項の規定による譲渡をするには、その根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得なければならない。

条文の趣旨と解説

元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権の全部を譲渡することができます(本条1項)。全部譲渡により、譲渡人は無担保の債権者となり、譲受人は、被担保債権として定められた範囲内の債権について根抵当権者になります。

根抵当権者は、その根抵当権を分割し、その一方を譲渡することもできます(本条2項前段)。この分割譲渡の結果、譲渡人と譲受人は、それぞれ独立した根抵当権者となります。根抵当権に設定された転抵当権など根抵当権を目的とする権利は、譲渡された根抵当権について消滅するため(本条2項後段)、根抵当権の分割譲渡に際しては、根抵当権を目的とする権利を有する者の承諾を得る必要があります(本条3項)。

条文の位置付け