民法第398条の9
  1. 元本の確定前に根抵当権者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権を担保する。
  2. 元本の確定前にその債務者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債務のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務を担保する。
  3. 前2項の場合には、根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、前項の場合において、その債務者が根抵当権設定者であるときは、この限りでない。
  4. 前項の規定による請求があったときは、担保すべき元本は、合併の時に確定したものとみなす。
  5. 第3項の規定による請求は、根抵当権設定者が合併のあったことを知った日から二週間を経過したときは、することができない。合併の日から一箇月を経過したときも、同様とする。

条文の趣旨と解説

元本の確定前に、根抵当権者又は債務者について合併があった場合は、従来の取引の維持が要請されると考えられることから、原則として、元本が確定せずに根抵当権が存続します。
すなわち、元本の確定前に根抵当権者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する債権も担保します(本条1項)。
また、元本の確定前に債務者について合併があったときは、根抵当権は、合併の時に存する債務のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に負担する債務も担保します(本条2項)。

もっとも、上記のような根抵当関係の存続を望まない根抵当権設定者は、合併のあったことを知った日から2週間以内、又は合併の日から1ヶ月以内に、担保すべき元本の確定を請求することができます(本条3項本文、本条5項)。この請求があったときは、合併の時に、元本が確定したものとみなされます(本条4項)。
ただし、債務者について合併があった場合において、根抵当権設定者が債務者であるときは、その根抵当権設定者は元本の確定を請求することはできません(本条3項ただし書)。

条文の位置付け