民法第196条
  1. 占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
  2. 占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

条文の趣旨と解説

占有者が占有物を返還するに際して、民法は、占有者と回復者との利害調整に関する規定を設けています。

占有者が支出した必要費

占有者が占有物の保存のために支出した金額その他の必要費は、回復者に対して償還を請求することができます(本条1項本文)。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者が負担します(本条1項ただし書)。

占有者が支出した有益費

占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従って、その支出した金額又は増加額の償還を請求することができます(本条2項本文)。ただし、悪意の占有者からの償還請求に対しては、回復者は、裁判所に相当の期限の許与を求めることができるとされています(本条2項ただし書)。

条文の位置付け