- 民法第644条
- 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
条文の趣旨と解説
委任契約が当事者間の信頼を基礎とする契約であることに鑑み、報酬の有無を問わず、受任者が善良なる管理者の注意をもって委任事務を処理すべきことを定めます。
平成29年民法(債権関係)改正
民法(債権関係)改正において、善管注意義務の内容を具体化するという観点から、受任者の「指図遵守義務」を明記すべきではないかという問題提起がされました(部会資料17-1)。しかし、受任者が委任者の指図を遵守することが合理的といえない場合もあるところ、受任者が委任者の指図に拘束されない例外的な場合を適切に規定することが困難であることから、あえて条文を設けず、従前どおり善管注意義務の解釈に委ねることとされました。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 契約
- 委任
- 民法第643条 – 委任
- 民法第644条 – 受任者の善管注意義務
- 民法第644条の2 – 復受任者の選任等
- 民法第645条 – 受任者による報告
- 民法第646条 – 受任者による受取物の引渡し等
- 民法第647条 – 受任者の金銭の消費についての責任
- 民法第648条 – 受任者の報酬
- 民法第648条の2 – 成果等に対する報酬
- 民法第649条 – 受任者による費用の前払請求
- 民法第650条 – 受任者による費用等の償還請求等
- 民法第651条 – 委任の解除
- 民法第652条 – 委任の解除の効力
- 民法第653条 – 委任の終了事由
- 民法第654条 – 委任の終了後の処分
- 民法第655条 – 委任の終了の対抗要件
- 民法第656条 – 準委任
- 委任
- 契約
- 債権