民法第644条
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

条文の趣旨と解説

委任契約が当事者間の信頼を基礎とする契約であることに鑑み、報酬の有無を問わず、受任者が善良なる管理者の注意をもって委任事務を処理すべきことを定めます。

平成29年民法(債権関係)改正

民法(債権関係)改正において、善管注意義務の内容を具体化するという観点から、受任者の「指図遵守義務」を明記すべきではないかという問題提起がされました(部会資料17-1)。しかし、受任者が委任者の指図を遵守することが合理的といえない場合もあるところ、受任者が委任者の指図に拘束されない例外的な場合を適切に規定することが困難であることから、あえて条文を設けず、従前どおり善管注意義務の解釈に委ねることとされました。

条文の位置付け