民法第424条の5
債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場合に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができる。

  1. その転得者が受益者から転得した者である場合 その転得者が、転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。
  2. その転得者が他の転得者から転得した者である場合 その転得者及びその前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。

条文の趣旨と解説

平成29年民法改正前、判例は、民法424条1項ただし書の「債権者を害すべき事実」について、受益者が善意、転得者が悪意である場合、転得者に対する詐害行為取消請求権の行使を認めていました(最高裁昭和49年12月12日第一小法廷判決)。
しかし、取引の安全を図る趣旨から、改正民法では、一旦善意者を経由した以上、その後に現れた転得者に対しては、たとえその転得者が悪意であったとしても、詐害行為取消請求権を行使することはできないこととされました。

条文の位置付け