- 民法第424条の9
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- 債権者は、第424条の6第1項前段又は第2項前段の規定により受益者又は転得者に対して財産の返還を請求する場合において、その返還の請求が金銭の支払又は動産の引渡しを求めるものであるときは、受益者に対してその支払又は引渡しを、転得者に対してその引渡しを、自己に対してすることを求めることができる。この場合において、受益者又は転得者は、債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、債務者に対してその支払又は引渡しをすることを要しない。
- 債権者が第424条の6第1項後段又は第2項後段の規定により受益者又は転得者に対して価額の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。
条文の趣旨と解説
平成29年民法(債権関係)改正により新設された規定です。
改正前民法下における判例は、取消債権者が、受益者又は転得者に対して、自らへの支払又は引渡しを求めることができるとしていました(大審院大正10年6月18日判決)。改正民法は、この判例法理を明文化しました。
また、改正民法では、詐害行為取消請求の効果が債務者にも及ぶことを前提に(民法425条)、受益者又は転得者が、債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、債務者に対して支払又は引渡しをすることを要しないことも規定しました。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 債権の効力
- 詐害行為取消権
- 民法第424条 – 詐害行為取消請求
- 民法第424条の2 – 相当の対価を得てした財産の処分行為の特則
- 民法第424条の3 – 特定の債権者に対する担保の供与等の特則
- 民法第424条の4 – 過大な代物弁済等の特則
- 民法第424条の5 – 転得者に対する詐害行為取消請求
- 民法第424条の6 – 財産の返還又は価額の償還の請求
- 民法第424条の7 – 被告及び訴訟告知
- 民法第424条の8 – 詐害行為の取消しの範囲
- 民法第424条の9 – 債権者への支払又は引渡し
- 民法第425条 – 認容判決の効力が及ぶ者の範囲
- 民法第425条の2 – 債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利
- 民法第425条の3 – 受益者の債権の回復
- 民法第425条の4 – 詐害行為取消請求を受けた転得者の権利
- 民法第426条 – 詐害行為取消権の期間の制限
- 詐害行為取消権
- 債権の効力
- 総則
- 債権