- 民法第425条
- 詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
- 平成29年改正前民法第425条
- 前条の規定による取消は、すべての債権者のためにその効力を生ずる。
条文の趣旨と解説
平成29年改正前民法第425条は、取消の効果は「すべての債権者のためにその効力を生ずる」と規定し、改正前民法下における判例は、詐害行為取消しの効果は債務者には及ばないとしていました(大審院明治44年3月24日判決)。
しかし、詐害行為取消しによって逸出財産が債務者の責任財産に回復され、強制執行の対象となるにもかかわらず、詐害行為取消しの効果が債務者に及ばないとするのは、整合的ではないという批判がありました。
そこで、改正民法は、詐害行為取消請求の効果を債務者にも及ぼすものと定められました。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 債権の効力
- 詐害行為取消権
- 民法第424条 – 詐害行為取消請求
- 民法第424条の2 – 相当の対価を得てした財産の処分行為の特則
- 民法第424条の3 – 特定の債権者に対する担保の供与等の特則
- 民法第424条の4 – 過大な代物弁済等の特則
- 民法第424条の5 – 転得者に対する詐害行為取消請求
- 民法第424条の6 – 財産の返還又は価額の償還の請求
- 民法第424条の7 – 被告及び訴訟告知
- 民法第424条の8 – 詐害行為の取消しの範囲
- 民法第424条の9 – 債権者への支払又は引渡し
- 民法第425条 – 認容判決の効力が及ぶ者の範囲
- 民法第425条の2 – 債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利
- 民法第425条の3 – 受益者の債権の回復
- 民法第425条の4 – 詐害行為取消請求を受けた転得者の権利
- 民法第426条 – 詐害行為取消権の期間の制限
- 詐害行為取消権
- 債権の効力
- 総則
- 債権