民法第426条
詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知ったときから2年を経過したときは、提起することができない。行為の時から10年を経過したときも、同様とする。
平成29年改正前民法第426条
第424条の規定による取消権は、債権者が取消しの原因を知った時から2年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

条文の趣旨と解説

平成29年改正前民法426条は「取消しの原因を知った時から2年間」と定めていましたが、改正前民法下の判例においても、「取消しの原因を知った時」とは、「債務者の法律行為が詐害の目的に出たることを債権者に於いて覚知したる時」と解されていました(大審院大正4年12月10日判決)。改正民法は、この起算点についての判例法理を明文化しました。

また、改正前民法は、「時効によって消滅する」と定めていましたが、詐害行為取消請求権は、民法120条以下の取消権等の実体法上の形成権とは異なることから、改正民法では、出訴期間として捉えています(民法(債権関係)の改正に関する中間試案の補足説明)。したがって、時効の更新等の規定は適用されません。

改正前民法では、詐害行為取消権の除斥期間が20年とされていましたが、短期化すべきであるという指摘があり、改正民法では10年と改められました。

条文の位置付け