- 民法第424条の8
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- 債権者は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができる。
- 債権者が第424条の6第1項後段又は第2項後段の規定により価額の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。
条文の趣旨と解説
平成29年民法(債権関係)改正により新設された規定です。
改正前民法下における判例は、詐害行為の目的が可分であるときは、詐害行為全部を取り消すべきではなく、債権者の損害を救済するために必要な限度においてのみ、詐害行為を取り消すことができるとしていました(大審院大正9年12月24日判決)。改正民法は、この判例法理を明文化しました(本条1項)。
また、詐害行為の目的物の返還が困難であり、その価額の償還を請求する場合(424条の6第1項後段又は第2項後段)にも、債権者は、自己の債権の額の限度においてのみ、詐害行為取消請求をすることができるとされています(本条2項)。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 総則
- 債権の効力
- 詐害行為取消権
- 民法第424条 – 詐害行為取消請求
- 民法第424条の2 – 相当の対価を得てした財産の処分行為の特則
- 民法第424条の3 – 特定の債権者に対する担保の供与等の特則
- 民法第424条の4 – 過大な代物弁済等の特則
- 民法第424条の5 – 転得者に対する詐害行為取消請求
- 民法第424条の6 – 財産の返還又は価額の償還の請求
- 民法第424条の7 – 被告及び訴訟告知
- 民法第424条の8 – 詐害行為の取消しの範囲
- 民法第424条の9 – 債権者への支払又は引渡し
- 民法第425条 – 認容判決の効力が及ぶ者の範囲
- 民法第425条の2 – 債務者の受けた反対給付に関する受益者の権利
- 民法第425条の3 – 受益者の債権の回復
- 民法第425条の4 – 詐害行為取消請求を受けた転得者の権利
- 民法第426条 – 詐害行為取消権の期間の制限
- 詐害行為取消権
- 債権の効力
- 総則
- 債権