- 民法第499条
- 債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
- 平成29年改正前民法第499条
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- 債務者のために弁済をした者は、その弁済と同時に債権者の承諾を得て、債権者に代位することができる。
- 第467条の規定は、前項の場合について準用する。
- 平成29年改正前民法第500条
- 弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に代位する。
条文の趣旨と解説
債務者以外の者が債務者のために弁済するときは、弁済者は債務者に対して求償権を取得することがあります。民法は、この求償権の効力を確保するため、債権者の有する債権に関する権利が、求償権の範囲内で、弁済者に移転するものとしました。
弁済による代位には、弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する「法定代位」と、弁済をするについて正当な利益を有しない者が債権者に代位する「任意代位」があります。
平成29年改正前民法499条第1項は、任意代位の要件として、弁済と同時に債権者の承諾を得ることが必要とされていました。
しかし、この任意代位の規律に対しては、債権者において、弁済を受領したにもかかわらず、代位のみを拒絶することを認めるのは不当であるという批判がされていました(『民法(債権関係)の改正に関する中間試案の補足説明』)。
そこで、民法改正では、任意代位の要件から、債権者の承諾が削除することとされました。
これに伴い、改正民法499条は、法定代位と任意代位を合わせて規定しています。