- 民法第100条
- 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、前条第1項の規定を準用する。
条文の趣旨と解説
代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、代理人自身のためにしたものとみなされます(本条本文)。しかし、相手方において、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、その意思表示の効果は本人に帰属します(本条ただし書)。
商法の特則
なお、本条の例外として、商行為の代理の場合には、商行為の代理人が本人のためにすることを示さないで代理行為をした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生じることとされています(商法504条本文)。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることができます(商法504条ただし書)。
条文の位置付け
- 民法
- 総則
- 法律行為
- 代理
- 民法第99条 – 代理行為の要件及び効果
- 民法第100条 – 本人のためにすることを示さない意思表示
- 民法第101条 – 代理行為の瑕疵
- 民法第102条 – 代理人の行為能力
- 民法第103条 – 権限の定めのない代理人の権限
- 民法第104条 – 任意代理人による復代理人の選任
- 民法第105条 – 法定代理人による復代理人の選任
- 民法第106条 – 復代理人の権限等
- 民法第107条 – 代理権の濫用
- 民法第108条 – 自己契約及び双方代理等
- 民法第109条 – 代理権授与の表示による表見代理等
- 民法第110条 – 権限外の行為の表見代理
- 民法第111条 – 代理権の消滅事由
- 民法第112条 – 代理権消滅後の表見代理等
- 民法第113条 – 無権代理
- 民法第114条 – 無権代理の相手方の催告権
- 民法第115条 – 無権代理の相手方の取消権
- 民法第116条 – 無権代理行為の追認
- 民法第117条 – 無権代理人の責任
- 民法第118条 – 単独行為の無権代理
- 代理
- 法律行為
- 総則