民法第110条
前条第1項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
平成29年改正前民法第110条
前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

条文の趣旨と解説

代理権がない事項についての代理行為の効果は本人に帰属しないのが原則ですが、代理権が存在するかのような外形的事情がある場合には、代理制度の信頼を維持し、取引の安全を保護するため、民法は、一定の要件の下で、代理行為の法的効果が本人に帰属することを認めています。この制度を表見代理といいます。
本条は、表見代理の一類型として、代理人がその権限の範囲外の行為をした場合に、取引の相手方において代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときに、代理権限の範囲内で代理がされたのと同一の法律関係を認めるものです。

条文の位置付け