- 民法第375条
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- 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
- 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の2年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して2年分を超えることができない。
条文の趣旨と解説
時の経過に従って額が増大する利息その他の定期金債権については、これを無制限に抵当権によって担保されるとすれば、後順位抵当権者や他の一般債権者の利益を害するおそれがあることから、抵当権によって担保される範囲が限定されています。すなわち、利息その他の定期金債権について優先弁済を受けられる範囲は、満期となった最後の2年分に限られ(本条1項本文)、遅延損害金債権も同じ扱いです(本条2項)。
なお、本条は後順位抵当権者や他の一般債権者を保護する趣旨に出たものであることから、抵当権設定者との関係において被担保債権の範囲を制限するものではないと解されており、したがって、抵当権設定者や第三取得者が被担保債権を弁済する場合、元本債権とともに満期となった定期金債権の全額を弁済しなければ抵当権を消滅させることはできないとされています(大審院大正4年9月15日判決)。
条文の位置付け
- 民法
- 物権
- 抵当権
- 抵当権の効力
- 民法第373条 – 抵当権の順位
- 民法第374条 – 抵当権の順位の変更
- 民法第375条 – 抵当権の被担保債権の範囲
- 民法第376条 – 抵当権の処分
- 民法第377条 – 抵当権の処分の対抗要件
- 民法第378条 – 代価弁済
- 民法第379条 – 抵当権消滅請求
- 民法第380条 – 抵当権消滅請求
- 民法第381条 – 抵当権消滅請求
- 民法第382条 – 抵当権消滅請求の時期
- 民法第383条 – 抵当権消滅請求の手続
- 民法第384条 – 債権者のみなし承諾
- 民法第385条 – 競売の申立ての通知
- 民法第386条 – 抵当権消滅請求の効果
- 民法第387条 – 抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力
- 民法第388条 – 法定地上権
- 民法第389条 – 抵当地の上の建物の競売
- 民法第390条 – 抵当不動産の第三取得者による買受け
- 民法第391条 – 抵当不動産の第三取得者による費用の償還請求
- 民法第392条 – 共同抵当における代価の配当
- 民法第393条 – 共同抵当における代位の付記登記
- 民法第394条 – 抵当不動産以外の財産からの弁済
- 民法第395条 – 抵当建物使用者の引渡しの猶予
- 抵当権の効力
- 抵当権
- 物権