民法第389条
  1. 抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる。ただし、その優先権は、土地の代価についてのみ行使することができる。
  2. 前項の規定は、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有する場合には、適用しない。

条文の趣旨と解説

抵当権が設定された後に抵当地に建物が築造された場合において、抵当権が実行されたときは、土地の買受人が建物収去及び土地明渡しを請求できることになりますが、買受人において建物収去及び土地明渡請求の負担をしなければならないことから、買受人が現れなかったり、買受価格が下落したりするおそれがあります。
そこで、そのような抵当権者の不利益を回避するため、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができるものとされました(本条1項本文)。ただし、抵当権者が優先弁済権を行使することができるのは、土地の代価に限られます(本条1項ただし書)。

抵当権の設定後に抵当地に建物が築造された場合であっても、その建物の所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有するときは、土地とともに建物を競売することは認められません(本条2項)。

条文の位置付け