- 民法第932条
- 前3条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければならない。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その競売を止めることができる。
条文の趣旨と解説
限定承認者が行う弁済において、相続財産を売却する必要があるときは、競売の方法によらなければなりません(本条本文)。
限定承認者は、家庭裁判所の選任した鑑定人の評価に従って、相続財産の全部又は一部の価額を弁済することによって、その競売を止めることができます(本条ただし書)。この「競売を止めることができる」という規定の意味は、鑑定人の評価した価額を限定承認者が自己の固有財産から支払うことによって当該財産を取得する権利を認める趣旨であると解されています(中島弘雅『新注釈民法(19)』)。
条文の位置付け
- 民法
- 相続
- 相続の承認及び放棄
- 相続の承認
- 限定承認
- 民法第922条 – 限定承認
- 民法第923条 – 共同相続人の限定承認
- 民法第924条 – 限定承認の方式
- 民法第925条 – 限定承認の方式
- 民法第926条 – 限定承認者による管理
- 民法第927条 – 相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告
- 民法第928条 – 公告期間満了前の弁済の拒絶
- 民法第929条 – 公告期間満了後の弁済
- 民法第930条 – 期限前の債務等の弁済
- 民法第931条 – 受遺者に対する弁済
- 民法第932条 – 弁済のための相続財産の換価
- 民法第933条 – 相続債権者及び受遺者の換価手続への参加
- 民法第934条 – 不当な弁済をした限定承認者の責任等
- 民法第935条 – 公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者
- 民法第936条 – 相続人が数人ある場合の相続財産の管理人
- 民法第937条 – 法定単純承認の事由がある場合の相続債権者
- 限定承認
- 相続の承認
- 相続の承認及び放棄
- 相続