- 民法第933条
- 相続債権者及び受遺者は、自己の費用で、相続財産の競売又は鑑定に参加することができる。この場合においては、第260条第2項の規定を準用する。
条文の趣旨と解説
相続債権者及び受遺者は、自己の費用で、相続財産の競売又は鑑定に参加することが認められています(本条前段)。参加の請求があったにもかかわらず、その請求をした者を参加させないで競売又は鑑定が行われたときは、その請求をした者に対抗することができないとされています(本条後段において準用する260条2項)。
この「対抗することができない」という意味は、本条に反する競売や鑑定が行われ、相続債権者や受遺者に損害が発生した場合には、競売や鑑定手続を実行させた限定承認者において、不法行為に基づく損害賠償責任を負うとする趣旨であると考えられています(中島弘雅『新注釈民法(19)』)。
条文の位置付け
- 民法
- 相続
- 相続の承認及び放棄
- 相続の承認
- 限定承認
- 民法第922条 – 限定承認
- 民法第923条 – 共同相続人の限定承認
- 民法第924条 – 限定承認の方式
- 民法第925条 – 限定承認の方式
- 民法第926条 – 限定承認者による管理
- 民法第927条 – 相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告
- 民法第928条 – 公告期間満了前の弁済の拒絶
- 民法第929条 – 公告期間満了後の弁済
- 民法第930条 – 期限前の債務等の弁済
- 民法第931条 – 受遺者に対する弁済
- 民法第932条 – 弁済のための相続財産の換価
- 民法第933条 – 相続債権者及び受遺者の換価手続への参加
- 民法第934条 – 不当な弁済をした限定承認者の責任等
- 民法第935条 – 公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者
- 民法第936条 – 相続人が数人ある場合の相続財産の管理人
- 民法第937条 – 法定単純承認の事由がある場合の相続債権者
- 限定承認
- 相続の承認
- 相続の承認及び放棄
- 相続