- 民法第986条
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- 受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
- 遺贈の放棄は、遺言者の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
条文の趣旨と解説
遺言の効力は遺言者の死亡の時に発生しますが(985条1項)、遺贈による利益を享受することを好まない受遺者もいると考えられることから、受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも遺贈の放棄ができるものとされています(本条1項)。もっとも、本条は遺贈のうち、特定名義の遺贈(特定遺贈)に関して適用されるものであり、包括名義での遺贈(包括遺贈)の受遺者は相続人と同一の地位に立つとされることから(990条)、包括遺贈の場合には、相続の承認又は放棄に関する規定(915条以下)が適用されることとなります(泉久雄『新版注釈民法(28)』)。
遺贈の放棄をした場合には、遺贈の放棄の効力は、遺言者の死亡の時までさかのぼります(本条2項)。
条文の位置付け
- 民法
- 相続
- 遺言
- 遺言の効力
- 民法第985条 – 遺言の効力の発生時期
- 民法第986条 – 遺贈の放棄
- 民法第987条 – 受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告
- 民法第988条 – 受遺者の相続人による遺贈の承認又は放棄
- 民法第989条 – 遺贈の承認及び放棄の撤回及び取消し
- 民法第990条 – 包括受遺者の権利義務
- 民法第991条 – 受遺者による担保の請求
- 民法第992条 – 受遺者による果実の取得
- 民法第993条 – 遺贈義務者による費用の償還請求
- 民法第994条 – 受遺者の死亡による遺贈の失効
- 民法第995条 – 遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属
- 民法第996条 – 相続財産に属しない権利の遺贈
- 民法第997条 – 相続財産に属しない権利の遺贈
- 民法第998条 – 遺贈義務者の引渡義務
- 民法第999条 – 遺贈の物上代位
- 民法第1001条 – 債権の遺贈の物上代位
- 民法第1002条 – 負担付遺贈
- 民法第1003条 – 負担付遺贈の受遺者の免責
- 遺言の効力
- 遺言
- 相続