民法第398条の7
  1. 元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。
  2. 元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。
  3. 元本の確定前に免責的債務引受があった場合における債権者は、第472条の4第1項の規定にかかわらず、根抵当権を引受人が負担する債務に移すことができない。
  4. 元本の確定前に債権者の交替による更改があった場合における更改前の債権者は、第518条第1項の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。元本の確定前に債務者の交替による更改があった場合における債権者も、同様とする。
平成29年改正前民法第398条の7
  1. 元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、同様とする。
  2. 元本の確定前に債務の引受けがあったときは、根抵当権者は、引受人の債務について、その根抵当権を行使することができない。
  3. 元本の確定前に債権者又は債務者の交替による更改があったときは、その当事者は、第518条の規定にかかわらず、根抵当権を更改後の債務に移すことができない。

条文の趣旨と解説

元本確定前の根抵当権については随伴性が否定されています。
すなわち、元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することはできません(本条1項前段)。元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者も、根抵当権に代位(499条501条)することはできません(本条1項後段)。

また、元本の確定前に債務の引受けがあったとき、根抵当権者は、引受人の債務について根抵当権を行使することはできません(本条2項)。免責的債務引受があった場合に、担保の移転を認める472条の4の適用はなく、債権者が根抵当権を引受人が負担する債務に移すことは認められていません(本条3項)。

元本の確定前に債権者又は債務者の交替による更改があった場合に、担保の移転を認める518条1項の適用はなく、債権者が根抵当権を更改後の債務に移すことは認められていません(本条4項)。

条文の位置付け