- 民法第144条
- 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
条文の趣旨と解説
時効の効力は、時効期間の起算日にさかのぼります。
消滅時効に関しては、元本債権が時効によって消滅したときは、起算日以降は履行遅滞がなかったこととなり、遅延損害金の請求権も存在しないこととなります。
取得時効に関しては、時効期間中の果実は占有者に帰属し、したがって、占有者が悪意であった場合でも、有効に収取することができ、返還義務を負いません。また、時効期間中に占有者がした法律上の処分は有効となり、したがって、占有者から目的物について権利を得た者は、有効に権利を取得したこととなります。
条文の位置付け
- 民法
- 総則
- 時効
- 総則
- 民法第144条 – 時効の効力
- 民法第145条 – 時効の援用
- 民法第146条 – 時効の利益の放棄
- 民法第147条 – 裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新
- 民法第148条 – 強制執行等による時効の完成猶予
- 民法第149条 – 仮差押え等による時効の完成猶予
- 民法第150条 – 催告による時効の完成猶予
- 民法第151条 – 協議を行う旨の合意による時効の完成猶予
- 民法第152条 – 承認による時効の更新
- 民法第153条 – 時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲
- 民法第154条 – 時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲
- 民法第158条 – 未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予
- 民法第159条 – 夫婦間の権利の時効の完成猶予
- 民法第160条 – 相続財産に関する時効の完成猶予
- 民法第161条 – 天災等による時効の完成猶予
- 総則
- 時効
- 総則