民法第150条
  1. 催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
  2. 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。
平成29年改正前民法第153条
催告は、6箇月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続法による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。

条文の趣旨と解説

催告があったときは、その時から6カ月を経過するまでの間は、時効が完成が猶予されます(本条1項)。
ただし、催告によって完成されている期間にされた再度の催告は、完成猶予の効力を有しないものとされています(本条2項)。

平成29年民法(債権関係)改正について

民法改正では、時効の「中断」という概念が、「更新」及び「完成猶予」として再構成されました(民法147条の解説参照)。これに伴い、時効の中断事由として規定されていた催告(改正前民法153条)は、時効の完成猶予事由として整理されています(本条1項)。

また、改正前民法下における判例は、催告を繰り返しても中断の効力は生じないとしており(大審院大正8年6月30日判決)、改正民法は、この判例法理を明文化しています(本条2項)。

条文の位置付け