- 民法第146条
- 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
条文の趣旨と解説
窮迫した地位におかれた者があらかじめ時効の利益を放棄することを強要されるおそれに鑑み(川島武宜『民法総則』)、時効が完成する前に、時効の利益を放棄することができないものとされています。
他方で、本条の反対解釈として、時効が完成した後に、時効の利益を放棄することは有効です。時効完成後には、上記のような窮迫に乗ずる危険はないものと考えられるからです。
条文の位置付け
- 民法
- 総則
- 時効
- 総則
- 民法第144条 – 時効の効力
- 民法第145条 – 時効の援用
- 民法第146条 – 時効の利益の放棄
- 民法第147条 – 裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新
- 民法第148条 – 強制執行等による時効の完成猶予
- 民法第149条 – 仮差押え等による時効の完成猶予
- 民法第150条 – 催告による時効の完成猶予
- 民法第151条 – 協議を行う旨の合意による時効の完成猶予
- 民法第152条 – 承認による時効の更新
- 民法第153条 – 時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲
- 民法第154条 – 時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲
- 民法第158条 – 未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予
- 民法第159条 – 夫婦間の権利の時効の完成猶予
- 民法第160条 – 相続財産に関する時効の完成猶予
- 民法第161条 – 天災等による時効の完成猶予
- 総則
- 時効
- 総則