- 民法第667条の3
- 組合員の一人について意思表示の無効または取消しの原因があっても、他の組合員の間においては、組合契約は、その効力を妨げられない。
条文の趣旨と解説
平成29年民法(債権関係)改正に伴い、制定された規定です。
改正前は、意思表示の無効または取消しに関する規定の適用は、第三者の取引関係の前後で区別していました。
(i) 組合が第三者と取引を開始していない場合には、第三者の利益を保護するという要請は働かないから、意思表示に関する民法総則の規定が適用される、(ii) 組合が第三者と取引を開始した後は、第三者の利益を保護する必要があることなどから、意思表示に関する民法総則の規定をそのまま適用することはできない、と解されていました。
しかし、第三者と取引をする前であっても、残りの組合員の意思を尊重し、組合契約の効力を認めることが当事者の意思に合致すると考えられ、また、上記のように第三者との取引の前後で結論を異にすれば、第三者と取引を開始する前か後かをめぐる紛争を生ずるおそれがあることが考えられます。
そこで、第三者との取引の開始の前後を問わず、組合契約に関し、意思表示または法律行為に無効又は取消しの原因があっても、他の組合員の間における組合契約の効力は妨げられないものとされました。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 契約
- 組合
- 民法第667条 – 組合契約
- 民法第667条の2 – 他の組合員の債務不履行
- 民法第667条の3 – 組合員の一人についての意思表示の無効等
- 民法第668条 – 組合財産の共有
- 民法第669条 – 金銭出資の不履行の責任
- 民法第670条 – 業務の決定及び執行の方法
- 民法第670条の2 – 組合の代理
- 民法第671条 – 委任の規定の準用
- 民法第672条 – 業務執行組合員の辞任及び解任
- 民法第673条 – 組合員の業務及び財産状況に関する検査
- 民法第674条 – 組合員の損益分配の割合
- 民法第675条 – 組合の債権者の権利の行使
- 民法第676条 – 組合員の持分の処分及び組合財産の分割
- 民法第677条 – 組合財産に対する組合員の債権者の権利の行使の禁止
- 民法第677条の2 – 組合員の加入
- 民法第678条 – 組合員の脱退
- 民法第679条 – 組合員の脱退
- 民法第680条 – 組合員の除名
- 民法第680条の2 – 脱退した組合員の責任等
- 民法第681条 – 脱退した組合員の持分の払戻し
- 民法第682条 – 組合の解散事由
- 民法第683条 – 組合の解散の請求
- 民法第684条 – 組合契約の解除の効力
- 民法第685条 – 組合の清算及び清算人の選任
- 民法第686条 – 清算人の業務の決定及び執行の方法
- 民法第687条 – 組合員である清算人の辞任及び解任
- 民法第688条 – 清算人の職務及び権限並びに残余財産の分割方法
- 組合
- 契約
- 債権