- 民法第680条の2
-
- 脱退した組合員は、その脱退前に生じた組合の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。この場合において、債権者が全部の弁済を受けない間は、脱退した組合員は、組合に担保を供させ、又は組合に対して自己に免責を得させることを請求することができる。
- 脱退した組合員は、前項に規定する組合の債務を弁済したときは、組合に対して求償権を有する。
条文の趣旨と解説
平成29年民法(債権関係)改正に伴い、制定された規定です。
従来の解釈を明文化したものといわれています。
脱退した組合員が、脱退前に生じた組合債務について、組合員の責任(675条)を負い続けるかに関しては、その組合債務が消滅するまでは、組合員の責任は存続すると解されていました。このような解釈を踏まえ、脱退した組合員は、脱退前に生じた組合債務については、これを履行する責任を負うものと定められています(1項)。
また、脱退した組合員が、脱退後に組合債務を履行することは他人の債務の履行に当たると考えられるため、組合に対して求償権を行使することが認められると考えられていました。このような解釈を明文化し、脱退した組合員は、脱退前に生じた組合債務を履行したときは、組合に対して求償権を行使することができるものと定められました(2項)。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 契約
- 組合
- 民法第667条 – 組合契約
- 民法第667条の2 – 他の組合員の債務不履行
- 民法第667条の3 – 組合員の一人についての意思表示の無効等
- 民法第668条 – 組合財産の共有
- 民法第669条 – 金銭出資の不履行の責任
- 民法第670条 – 業務の決定及び執行の方法
- 民法第670条の2 – 組合の代理
- 民法第671条 – 委任の規定の準用
- 民法第672条 – 業務執行組合員の辞任及び解任
- 民法第673条 – 組合員の業務及び財産状況に関する検査
- 民法第674条 – 組合員の損益分配の割合
- 民法第675条 – 組合の債権者の権利の行使
- 民法第676条 – 組合員の持分の処分及び組合財産の分割
- 民法第677条 – 組合財産に対する組合員の債権者の権利の行使の禁止
- 民法第677条の2 – 組合員の加入
- 民法第678条 – 組合員の脱退
- 民法第679条 – 組合員の脱退
- 民法第680条 – 組合員の除名
- 民法第680条の2 – 脱退した組合員の責任等
- 民法第681条 – 脱退した組合員の持分の払戻し
- 民法第682条 – 組合の解散事由
- 民法第683条 – 組合の解散の請求
- 民法第684条 – 組合契約の解除の効力
- 民法第685条 – 組合の清算及び清算人の選任
- 民法第686条 – 清算人の業務の決定及び執行の方法
- 民法第687条 – 組合員である清算人の辞任及び解任
- 民法第688条 – 清算人の職務及び権限並びに残余財産の分割方法
- 組合
- 契約
- 債権