民法第528条
承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。

条文の趣旨と解説

承諾者が、申込みに条件を付すなどの変更を加えて承諾したときには、申込みを拒絶したものとみなされます。また、変更された内容をもった新たな申込みとみなされます。したがって、これに対して申込者が承諾をすれば、変更された内容どおりの契約が成立します。

なお、現実の取引、特に企業間の取引においては、契約成立までに交渉が行われることが通常であるところ、契約成立に至る過程を申込みと承諾(または変更を加えた承諾)に分解することに意味は存しないという指摘があります。このような交渉による契約の成立を理論的に考察した文献として、平井宜雄『債権各論Ⅰ上契約総論』(弘文堂)が参考になります。

条文の位置付け