民法第538条
  1. 前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない。
  2. 前条の規定により第三者の権利が発生した後に、債務者がその第三者に対する債務を履行しない場合には、同条第一項の契約の相手方は、その第三者の承諾を得なければ、契約を解除することができない。
平成29年改正前民法第538条
前条の規定により第三者の権利が発生した後は、当事者は、これを変更為、又は消滅させることができない。

条文の趣旨と解説

第三者が受益の意思を表示して権利を取得した以上は、契約当事者といえども、任意にこれを変更したり、消滅させたりすることはできません(本条1項)。
なお、債務者が第三者に対する債務を履行しない場合に、契約の相手方が、第三者の承諾なしに契約を解除することができるかどうかは解釈の争いがありましたが、平成29年民法(債権関係)改正では、第三者の債務者に対する履行請求権を第三者に無断で奪うことは妥当ではないと考えられることから、第三者の承諾なしには契約を解除することはできないと規定されました(本条2項)。

条文の位置付け