- 民法第585条
-
- 前条の場合において、買主が不動産の競売における買受人となったときは、売主は、競売の代金及び第583条に規定する費用を支払って買戻しをすることができる。この場合において、売主は、その不動産の全部の所有権を取得する。
- 他の共有者が分割を請求したことにより買主が競売における買受人となったときは、売主は、その持分のみについて買戻しをすることはできない。
条文の趣旨と解説
不動産の共有持分も買戻特約付きで売買をすることができます。584条及び本条は、買戻しが行われるまでの間に、共有物分割又は競売があった場合の、買戻権の効果について定めています。
買主が共有不動産の分割を請求し、買主が競売の買受人となって不動産全部の所有権を取得したときは、買戻権者は、持分についてのみ買戻しを行うこともできますが、競売の代金及び583条に規定する費用を支払って、不動産全部の所有権を取得することができます(1項)。
買主以外の共有者が分割を請求したことにより買主が競売の買受人となって不動産全部の所有権を取得したときは、売主は、競売の代金及び583条に規定する費用を支払って不動産全部について買戻しをしなければならず、持分についてのみ買戻しをすることはできません(2項)。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 契約
- 売買
- 民法第555条 – 売買
- 民法第556条 – 売買の一方の予約
- 民法第557条 – 手付
- 民法第558条 – 売買契約に関する費用
- 民法第559条 – 有償契約への準用
- 民法第560条 – 権利移転の対抗要件に係る売主の義務
- 民法第561条 – 他人の権利の売買における売主の義務
- 民法第562条 – 買主の追完請求権
- 民法第563条 – 買主の代金減額請求権
- 民法第564条 – 買主の損害賠償請求及び解除権の行使
- 民法第565条 – 移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任
- 民法第566条 – 目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限
- 民法第567条 – 目的物の滅失等についての危険の移転
- 民法第568条 – 競売における担保責任等
- 民法第569条 – 債権の売主の担保責任
- 民法第570条 – 抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求
- 民法第572条 – 担保責任を負わない旨の特約
- 民法第573条 – 代金の支払期限
- 民法第574条 – 代金の支払場所
- 民法第575条 – 果実の帰属及び代金の利息の支払
- 民法第576条 – 権利を取得することができない等のおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶
- 民法第577条 – 抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶
- 民法第578条 – 売主による代金の供託の請求
- 民法第579条 – 買戻しの特約
- 民法第580条 – 買戻しの期間
- 民法第581条 – 買戻しの特約の対抗力
- 民法第582条 – 買戻権の代位行使
- 民法第583条 – 買戻しの実行
- 民法第584条 – 共有持分の買戻特約付売買
- 民法第585条 – 共有持分の買戻特約付売買
- 売買
- 契約
- 債権