民法第605条の3
不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、前条第3項及び第4項の規定を準用する。

条文の趣旨と解説

平成29年民法(債権関係)改正によって新設された規定です。
賃貸借の対抗要件(605条、借地借家法10条1項、同法31条等)が備えられていない場合においても、譲渡人と譲受人との合意により、賃借人の同意なく、賃貸人たる地位を譲受人に移転させることができます。「新所有者が旧所有者の賃貸人としての権利義務を承継するには、賃借人の承諾を必要とせず、旧所有者と新所有者間の契約をもってこれをなすことができる」という判例法理(最高裁昭和46年4月23日第二小法廷判決)が明文化されたものです。

条文の位置付け