- 民法第616条
- 第594条第1項の規定は、賃貸借について準用する。
- 平成29年改正前民法第616条
- 第594条第1項、第597条第1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。
条文の趣旨と解説
使用貸借に関する594条1項を準用し、賃借人の使用収益権の範囲を定めています。すなわち、使用収益権の範囲は、まずは契約によって定まり、契約に定めなかったときは、目的物の性質によって定まる用法に従い、使用及び収益をすることになります。
平成29年民法(債権関係)改正について
改正前の本条は、594条1項の準用の他に、改正前民法597条1項(期間満了による使用貸借の終了)及び改正前民法598条(借主による収去)も準用すると規定していました。
しかし、改正前民法597条1項の規定は、622条で準用することとされたため、本条の準用条文からは削除されました。
また、改正前民法598条の規律の一部であった借主の収去権(改正後は599条2項)についても、622条で準用することとされたため、本条の準用条文からは削除されました。同じく改正前民法598条に規定されていた借主の原状回復義務は、賃貸借の規律として621条が新設されたため、本条の準用条文からは削除されました。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 契約
- 賃貸借
- 民法第601条 – 賃貸借
- 民法第602条 – 短期賃貸借
- 民法第603条 – 短期賃貸借の更新
- 民法第604条 – 賃貸借の存続期間
- 民法第605条 – 不動産賃貸借の対抗力
- 民法第605条の2 – 不動産の賃貸人たる地位の移転
- 民法第605条の3 – 合意による不動産の賃貸人たる地位の移転
- 民法第605条の4 – 不動産の賃借人による妨害の停止の請求等
- 民法第606条 – 賃貸人による修繕等
- 民法第607条 – 賃借人の意思に反する保存行為
- 民法第607条の2 – 賃借人による修繕
- 民法第608条 – 賃借人による償還請求
- 民法第609条 – 減収による賃料の減額請求
- 民法第610条 – 減収による解除
- 民法第611条 – 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等
- 民法第612条 – 賃借権の譲渡及び転貸の制限
- 民法第613条 – 転貸の効果
- 民法第614条 – 賃料の支払時期
- 民法第615条 – 賃借人の通知義務
- 民法第616条 – 賃借人による使用及び収益
- 民法第616条の2 – 賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了
- 民法第617条 – 期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ
- 民法第618条 – 期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保
- 民法第619条 – 賃貸借の更新の推定等
- 民法第620条 – 賃貸借の解除の効力
- 民法第621条 – 賃借人の原状回復義務
- 民法第622条 – 使用貸借の規定の準用
- 民法第622条の2 – 敷金
- 賃貸借
- 契約
- 債権