- 民法第617条
-
- 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
- 土地の賃貸借 1年
- 建物の賃貸借 3箇月
- 動産及び貸席の賃貸借 1日
- 収穫の季節がある土地の賃貸借については、その季節の後次の耕作に着手する前に、解約の申入れをしなければならない。
- 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
条文の趣旨と解説
本条は、期間の定めがない賃貸借について、各当事者はいつでも解約をすることができること、解約の申入れの後、一定の期間の経過することによって賃貸借が終了することを定めています。
特別法による修正
しかし、本条の規律に対しては、以下のように特別法による修正が加えられています。
-
- 建物所有を目的とする土地の賃貸借
- たとえ契約に期間の定めがなかったとしても、借地借家法3条(又は旧借地法2条)により、期間が定められるため、解約申入れをする余地はありません。
-
- 建物の賃貸借
- 借地借家法27条1項によって、賃貸人が解約の申入れをした場合には、解約の申入れの日から6ヶ月を経過することによって終了するものとされているほか、同法28条によって、賃貸人がする解約申入れには正当事由が要求されています。
-
- 農地又は採草放牧地の賃貸借
- 農地法18条1項により、原則として都道府県知事の許可を得なければ、解約の申入れをすることができません。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 契約
- 賃貸借
- 民法第601条 – 賃貸借
- 民法第602条 – 短期賃貸借
- 民法第603条 – 短期賃貸借の更新
- 民法第604条 – 賃貸借の存続期間
- 民法第605条 – 不動産賃貸借の対抗力
- 民法第605条の2 – 不動産の賃貸人たる地位の移転
- 民法第605条の3 – 合意による不動産の賃貸人たる地位の移転
- 民法第605条の4 – 不動産の賃借人による妨害の停止の請求等
- 民法第606条 – 賃貸人による修繕等
- 民法第607条 – 賃借人の意思に反する保存行為
- 民法第607条の2 – 賃借人による修繕
- 民法第608条 – 賃借人による償還請求
- 民法第609条 – 減収による賃料の減額請求
- 民法第610条 – 減収による解除
- 民法第611条 – 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等
- 民法第612条 – 賃借権の譲渡及び転貸の制限
- 民法第613条 – 転貸の効果
- 民法第614条 – 賃料の支払時期
- 民法第615条 – 賃借人の通知義務
- 民法第616条 – 賃借人による使用及び収益
- 民法第616条の2 – 賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了
- 民法第617条 – 期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ
- 民法第618条 – 期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保
- 民法第619条 – 賃貸借の更新の推定等
- 民法第620条 – 賃貸借の解除の効力
- 民法第621条 – 賃借人の原状回復義務
- 民法第622条 – 使用貸借の規定の準用
- 民法第622条の2 – 敷金
- 賃貸借
- 契約
- 債権