- 民法第575条
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- まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。
- 買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う。ただし、代金の支払について期限があるときは、その期限が到来するまでは、利息を支払うことを要しない。
条文の趣旨と解説
特段の合意がない限り、目的物の所有権は、売買契約の締結と同時に買主に移転すると解されているため(最高裁昭和33年6月20日第二小法廷判決)、目的物の引渡しの前に所有権が買主に移転することになります。そうすると、契約時から引渡時までの間、売主が買主の所有物を占有することになり、占有者である売主に果実の返還義務(190条1項)や管理等費用の償還請求(196条)などの複雑な権利関係が生じます。
そこで、両当事者の公平を図りつつ、複雑な権利関係を画一的に解決するために、売主は、目的物を引き渡すまでは、果実を収取し(本条1項)、管理費用等の通常の必要費を負担することとし(196条1項ただし書)、一方で、買主は、引渡しの日まで代金の利息を支払う必要はないものとしました(本条2項本文)。
条文の位置付け
- 民法
- 債権
- 契約
- 売買
- 民法第555条 – 売買
- 民法第556条 – 売買の一方の予約
- 民法第557条 – 手付
- 民法第558条 – 売買契約に関する費用
- 民法第559条 – 有償契約への準用
- 民法第560条 – 権利移転の対抗要件に係る売主の義務
- 民法第561条 – 他人の権利の売買における売主の義務
- 民法第562条 – 買主の追完請求権
- 民法第563条 – 買主の代金減額請求権
- 民法第564条 – 買主の損害賠償請求及び解除権の行使
- 民法第565条 – 移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任
- 民法第566条 – 目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限
- 民法第567条 – 目的物の滅失等についての危険の移転
- 民法第568条 – 競売における担保責任等
- 民法第569条 – 債権の売主の担保責任
- 民法第570条 – 抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求
- 民法第572条 – 担保責任を負わない旨の特約
- 民法第573条 – 代金の支払期限
- 民法第574条 – 代金の支払場所
- 民法第575条 – 果実の帰属及び代金の利息の支払
- 民法第576条 – 権利を取得することができない等のおそれがある場合の買主による代金の支払の拒絶
- 民法第577条 – 抵当権等の登記がある場合の買主による代金の支払の拒絶
- 民法第578条 – 売主による代金の供託の請求
- 民法第579条 – 買戻しの特約
- 民法第580条 – 買戻しの期間
- 民法第581条 – 買戻しの特約の対抗力
- 民法第582条 – 買戻権の代位行使
- 民法第583条 – 買戻しの実行
- 民法第584条 – 共有持分の買戻特約付売買
- 民法第585条 – 共有持分の買戻特約付売買
- 売買
- 契約
- 債権