民法第604条
  1. 賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。
  2. 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新のときから50年を超えることができない。
平成29年改正前民法第604条
  1. 賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。
  2. 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から20年を超えることができない。

条文の趣旨と解説

賃貸借の存続期間は50年を超えることができず、契約でこれより長い期間を定めた場合でも50年となります(本条1項)。賃貸借の存続期間は更新することはできますが、その場合も期間は更新のときから50年を超えることはできません(本条2項)。

特別法による修正

建物所有を目的とする土地の賃貸借

建物所有を目的とする土地の賃貸借については、事業用定期借地権(借地借家法23条1項、2項)を除き、存続期間に上限はありません(借地借家法3条ただし書)。
更新後の存続期間も上限がありません(借地借家法4条ただし書。借地借家法施行日より前に成立していた土地の賃貸借の更新に関しては旧借地法5条2項)。

建物の賃貸借

建物の賃貸借については、本条の規定を適用しないものとされているため(借地借家法29条2項)、契約で50年を超える期間を定めることも可能です。

平成29年民法(債権関係)改正について

賃貸借期間が長期にわたるときには、賃借物の損傷や劣化が顧みられないという懸念から、改正前民法は、賃貸借の存続期間の上限を20年と定めていました。
しかし、一定の類型の賃貸借においては、賃借人保護の観点から、特別法(借地借家法、農地法)による修正が加えられ、より長期の存続期間が認められてきました。さらに、特別法が適用されない賃貸借においても、ゴルフ場の敷地等の賃貸借や大型のプロジェクトにおける重機やプラントのリース契約などでは、20年を超える存続期間を定めるニーズがあることから、存続期間の上限を修正すべきであるとの指摘がされました。一方で、あまりにも長期にわたる賃貸借は、目的物の所有権にとって過度な負担になるおそれがあります。
そこで、永小作権の存続期間の上限が50年と規定されていること(278条)を参考として、賃貸借の存続期間の上限は、20年から50年に改められました。

条文の位置付け