民法第616条の2
賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は、これによって終了する。

条文の趣旨と解説

平成29年民法(債権関係)改正によって新設された規定です。
改正前は、611条が賃借物の一部滅失の場合について規定していたものの、賃借物が全部滅失した場合については明文の規定がありませんでした。
この点につき、判例は、「賃貸借の目的物たる建物が朽廃しその効用を失つた場合は、目的物滅失の場合と同様に賃貸借の趣旨は達成されなくなるから、これによつて賃貸借契約は当然に終了するものと解する」(最高裁昭和32年12月3日第三小法廷判決)と判示するなど、賃借物の全部滅失その他の賃借物の全部の使用収益をすることができなくなったことを賃貸借の終了事由としていました
本条は、このような判例法理を明文化するものです。

条文の位置付け